はじめに
100年前に産声をあげ、八幡の街とともに発展した八幡歯科医師会。皆様方のお口の健康に何らかのお手伝いができればと様々に取り組んで参りました。そのため当会では、お口の健康啓発事業などを行う地域保健委員会、より良質な歯科医療提供を目指す学術委員会、安心安全な治療をサポートする医療管理委員会、日本が世界に誇る国民皆保険制度を守る医療保険委員会、そしてそれらの情報を会員に広く伝達する広報委員会が設置され、各委員会とも精力的に活動しています。そして創立150年、200年を迎えましてもそんな会であり続けたいと願います。ここでこの100年を振り返り、簡単ではございますが、節目となったできごとや活動、SDGsへの取り組みをご紹介いたします。
当会の歩み
大正11年10月 八幡歯科医師会発足
昭和22年11月 新生・社団法人八幡歯科医師会発足
昭和34年4月11日 八幡市公民館にて社会保険に関する講習会開催
資料で過去をさかのぼると、昭和2年、「健康保険法」への対応に苦慮する記録や、終戦後には財政的に厳しい八幡市国保の存続に当会が協力する記事もあった。創立当初から健康保険制度存続をサポートする当会の姿勢が示されており、昭和34年の講習会も前年制定の「国民健康保険法」をふまえてのものと思われる。現在においてもそのスタンスは変わらない。
昭和36年 記録に残る初めての学術講演会と老人ホーム検診
6月13日に小児歯科臨床についての学術講演会が行われた。その後、学術講演会は毎年開催され現在に至る。
昭和41年4月29日 旧会館落成式開催
昭和45年6月23日 イオン導入法による集団フッ素塗布実施
昭和48年12月19日 年始在宅救急医療始まる
昭和50年9月27日 産業歯科検診始まる
昭和四十七年労働安全衛生法の施行により、有害業務に従事する事業所は、産業歯科検診が義務づけられた。昭和50年9月、はじめて八幡西区の事業所より検診の依頼があり、工場に出務して産業歯科検診を行った。
工場名:ミハラ金属工業株式会社
昭和63年9月30日 会員向け会誌を定期的に発刊
有益な情報を全会員で共有すべく定期発行される会誌が誕生した。
平成4年10月17日 創立70周年記念祝賀会開催
平成22年8月22日 第1回フッソイオンde歯ッピーフェスタ開催
平成23年4月 地域医療連携室設置
*地域保健活動の一環として、歯科医師会事務局を窓口として地域医療連携室の運用を開始。北九州八幡東病院、正和なみき病院、正和中央病院、九州厚生年金病院との間で医療連携の体制を、また済生会八幡病院とはNST 医療連携事業を、それぞれ構築した。この他にも、介護施設、ケアマネジャー、個人よりの依頼により訪問歯科治療、口腔ケア等の供給体制を整えた。地域医療連携で訪問歯科治療の依頼に対しては、かかりつけ歯科医を主軸として担当医を決定する手順を定めた。現在も当会には、本事業を拡大する形で地域連携室が存在している。
平成23年5月 被災地歯科診療への協力
日本歯科医師会からの要請で当会医療管理委員の先生が、宮城県南三陸町にて被災地診療に協力した。
平成29年3月19日 新会館竣工
令和4年10月16日 創立100周年記念祝賀会開催
当会とSDGs
2015年9月の国連サミットではSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」が採択されました。これは国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。当会もこの目標に沿うべく様々な活動をして参りました。
ここでその活動をいくつかご紹介いたします。
- フッ化物を応用したむし歯予防事業
- 高齢者の方々がより健康な生活を送るための支援事業
- 環境問題解決の小さなお手伝い
1. フッ化物を応用したむし歯予防事業
3.8 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
4.1 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
100年を振り返りますと、ここ20年はむし歯に関して確実に減少傾向がみられるとはいえ、まだむし歯で苦しまれる方がいらっしゃるのも事実です。特に北九州に住むお子様方のむし歯が、政令指定都市の中で多いことが問題となっています。当会では2010年より、むし歯予防のためにフッ化物の活用を推進する「フッ素イオン de 歯ッピーフェスタ」をイオンモール八幡東にて開催して参りました。フッ化物の活用は「福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例」にも定められた科学的根拠に基づき行うむし歯予防の一つです。
今年からは北九州市の小学校において、フッ化物洗口のモデル事業が始まりました。八幡にお住まいのお子様方、お一人お一人のむし歯減少を目指し、当会も本事業をバックアップしていきます。またこの事業を通じて、学校でのお口に関する公衆衛生教育活動にもより一層取り組んで参ります。
2. 高齢者の方々がより健康な生活を送るための支援事業
10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
超高齢化が進む現代において、高齢者の方々が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられることを目的とした、地域包括ケアシステムが提案され長い時間が過ぎました。歯科領域においても在宅療養者を支えるため、在宅歯科医療(訪問歯科診療)の推進が欠かせません。しかしながら、在宅歯科医療を求める声が歯科界に届いていないケースも散見されるようです。
ここで福岡県においては在宅歯科医療連携室整備事業が立ち上がり、当会も2019年からこの事業に参画しております。自宅や施設等で療養中の高齢者、その支援者の声が当会に届く仕組みを構築し、在宅歯科医療を推進しています。 さらに当事業は2020年度から口腔管理推進室事業へと発展し、お口の健康を管理することで、より長く健康的な生活が営めるよう地域の方々を支援することとなりました。COVID-19の影響もあり活動に制限はございますが、一つ一つ実績を積み上げて参ります。
3. 環境問題解決の小さなお手伝い
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
地球全体の環境問題を考えるとき、当会ができる役割は決して大きなものではないと自覚しています。一方でわずかな歩みであっても環境問題解決に向かって努力を続けることが大切だと考えます。
COVID-19の蔓延は私たちの生活を大きく変えてしまいました。しかしこれを契機とし、より良い生活環境構築の仕組みづくりに活かすことも可能でしょう。当会では昨年度から理事会等の会議におけるペーパレス化を試みました。使用する機材にはエネルギー効率の高いタブレットを使用しています。
さらに会議や研修会のリモート化にも取り組んでいます。来館頻度を減らすことにより自動車使用の回数軽減、ひいては化石燃料使用、二酸化炭素排出の減少につながればと期待します。その成果は微々たるものと承知していますが、まずはできることから始めて参りたいと思います。